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こだま 一面
川崎小虎
紙本署色
二二五・〇×一八〇・〇
昭和五年(一九三〇)
東京国立近代美術館
作者寄贈
川崎小虎(一人八六〜一九七七)は岐阜市の生まれ、祖父は土佐派の画家で有職故実に詳しい川崎千虎。上京して千虎に師事、一九〇二年千虎没後は門下の小堀鞆音に師事し、一〇年東京美術学校を卒業、十六年第十回文展で「花合せ」が特選を受賞し、大和絵系の日本画家として世に認められるようになった。以後、平安貴族の生活や王朝風俗の考証にもとつく作品を文展・帝展などに発表する一時期をへて、大正末年ころからは、引目鈎鼻に代表される大和絵の定型を破り、人物や自然の表現に現代的な新感覚を盛りこむ方向へと踏み出した。第十一回帝展に出品されたこの「こだま」では、もの想いに沈む森の精霊の艶姿もさることながら、小虎特有の濃密な色彩表現とあいまって、彼女を取り囲む木々や葉叢の隅々にいたるまで秘密めいた幻想的情感のようなものが垂れこめている。