149
嬋娟(せんけん) 小絲源太郎筆 一面
額装 油彩・カンバス
縦一四五・五 横一〇六・〇
昭和十二年(一九三七)
東京国立近代美術館
小絲源太郎(一八八七〜一九七八)は印象派的な作風から出発し、文展で入賞を重ねたが、数年間の沈黙ののち、一九二五年より宋元院体画の影響を思わせる細密な静物画を発表して画壇に復帰、神秘性すら感じさせる画風で一九三〇年、三年と連続して帝展特選となった。画面一杯にケシの花を描いたこの作品も、そうした細密な静物画の延長上にあるが、ここでは迫真の描写は一歩後退し、陰影も薄れ、かわりに装飾性が強められているようにみえる。戦後のより闊達な画風への展開を予感させる作品である。