郷里の先覚

絵画 日本画

  • 前田青邨  (1885-1977)
  • マエダ、セイソン
  • 昭和22年 / 1947
  • 墨画淡彩・紙本・軸・双幅
  • 各147.5×95.0
  • 右幅右下に印章; 左幅左下に印章
  • 32回再興院展 東京都美術館 1947

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郷里の先覚
Pioneers at Home
1947年
紙本墨画淡彩・軸(双幅) 各147.5×95.0cm
院展の代表的画家であった安田靫彦、小林古径、前田青邨は、ともに青年時代に紅児会という研究会に属して熱心な研鎖を重ねた人たちであるが、この三人はいずれも優れた線描家であった。このなかで前田青邨の筆線は最も軽快であって、不断の写生やスケッチに支えられたその筆線の緩急自在の運動感は、彼の絵の魅力の中心をなすといってよい。
青邨の筆線の妙味は、当然ながら《西遊記》絵巻(1927年)や人物画一歴史人物画であれ現代の肖像画であれ一の白描系の線描を主体とする作品により多く表されている。この《郷里の先覚》は線描を主体とする青邨の人物画の代表作の一つである。第32回院展に出品された。
右幅に描かれているのは市岡殷政(しげまさ)、左幅は間秀則、ともに平田派の国学者であり、幕末国事に奔走した旧中仙道中津川宿の実在の人物である。島崎藤村の歴史小説『夜明け前』に前者は浅見景蔵、後者は蜂谷香蔵として登場する。間秀則が手にしている鎧の袖は、敗走して中津川に抜けた水戸の天狗党の残党が形見に置いていったものという。

郷里の先覚

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