{百草蒔絵薬簞笥/内容品}
{ひゃくそうまきえくすりたんす/ないようひん}
概要
{百草蒔絵薬簞笥/内容品}
{ひゃくそうまきえくすりたんす/ないようひん}
東京都
江戸/1771年
慳貪蓋を付けた薬簞笥とその内容品である。内部に大小十個の引出を収める。木胎漆塗りで、総体を研出蒔絵で加飾する。簞笥の底面を除く外側面および内部に収めた引出の前面は、外側面を七十三、内部の前面を十八、合わせて九十一の部分に不規則に区画し、各々に全て異なる文様を配した寄裂風の意匠としている。蓋の裏側には、鬱金や薄荷、葛根などの草花に、蛍、蟷螂など二十三の昆虫を加えた百種の草虫を研出蒔絵で表す。各草虫の脇には、その名称を一・五ミリ角ほどの文字で記す。
金具はすべて銀製鍛造、彫金、鍍金である。内容品の銀製合子も、同じ製作者の手になるもので、地を鋤彫りで彫り下げ、細かい刻点を主体とした荒し鏨を打ち、文様は薄肉の浮彫り風に表し、細かい毛彫りと魚々子鏨等で細部を表現する。内容品は、銀製合子のほか、硝子製薬瓶、渋紙製薬袋、鍼灸道具など多くが各引出にあわせて製作されている。意匠の特徴として、まずは寄裂風の文様構成の奇抜さがあげられる。各区画には、漆工品だけでなく染織品や料紙装飾、金唐革やモールなどからも取材したとみられる紗綾形文、観世水など、多様な文様が表されている。 技法的には、加飾が全て研出蒔絵で行われている点がある。金、銀、青金など材質や、粉の大きさも異なる多様な材料を用い、それらを漆で塗り込め、塗膜の表面に文様が現れるように全体を研ぎ出す。本作の身の左側面下方には「観松齋/桃葉造(花押)」の金蒔絵銘があるほか、身の底裏左下方に「明和八辛卯年十一月日」の彫銘がある。
高31.5㎝ 縦24.0㎝ 横41.8㎝
1基
港区南青山6-5-1
重文指定年月日:20240827
国宝指定年月日:
登録年月日:
公益財団法人根津美術館
国宝・重要文化財(美術品)
多様な分野を源泉とする意匠や、収められた内容品の豊かさから、徳島藩による発注や製作の背景についても示唆に富んでいる。意匠の特徴として、まずは寄裂風の文様構成の奇抜さがあげられる。技法的には、加飾が全て研出蒔絵で行われている点がある。金、銀、青金など材質や、粉の大きさも異なる多様な材料を用い、それらを漆で塗り込め、塗膜の表面に文様が現れるように全体を研ぎ出すことは、きわめて高度な技術である。それらを一つの調度にまとめあげた意匠の構成力および研出蒔絵の巧緻さは、飯塚桃葉の技量を十二分に伝える基準作にして代表作といえる。
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