旭彩山桜図花瓶〈三代清風與平作/〉
きょくさいやまざくらずかびん〈さんだいせいふうよへいさく/〉
概要
旭彩山桜図花瓶〈三代清風與平作/〉
きょくさいやまざくらずかびん〈さんだいせいふうよへいさく/〉
東京都
明治/1905
黄味を帯びた白磁に、山桜と鳥、雲の文様を表し、それらの周囲を淡い紅色と黄色で着彩した花瓶である。肩が張り裾に向かって窄まる器形で、清風の中では比較的大ぶりな作である。本作の特徴は、わずかな立体感と微妙な色の差違という抑制された表現の中に、繊細かつ明瞭なコントラストを生み出した点にある。
素地は、清風が「瑍白磁」と名付けた白磁で、透明釉が素地と反応して黄味を帯びた地色を呈する。
文様の山桜の花は七〇を超え、一つ一つの大きさと形はほぼ均一である。それに対して、葉はさまざまな姿で、枝垂れる枝の長さ、花の集散は変化に富む。その合間には、蕾または花弁を抽象化したような円形の文様をさりげなく散らし、文様全体の量感とバランスが調整されている。鳥は、花に囲まれた余白に配し、両翼をやや広げ、桜を見上げた姿で、散る花弁とともに飛ぶ。文様の表現技法は、土の盛り上げと彫りによって立体的に表す浮文による。一ミリメートルに満たないわずかな盛り上げを重ねて、山桜の立体的な姿や空間の奥行きを表す。
着彩は、浮文の文様部分には施さず、その周りの地の部分にのみ淡い色をぼかして着彩することで、文様をほんのりと際立たせる。着彩の技法は、透明釉の下に顔料を吹き付けるなどして施す釉下彩による。高火度で彩度の高い紅色や黄色の釉下彩は、日本では、明治時代になってから用いるようになった。花と鳥の周辺には淡い紅色、枝垂れた枝先の四カ所に淡い黄色を挿す。清風自身による「旭彩」という名称の説明はないが、淡くぼかした紅色に、黄色のぼかしを部分的に加えた釉下彩を示すと考えられ、旭を迎える手前のおぼろげな光を想起させる。
高43.0㎝ 口径15.5㎝ 胴径30.5㎝ 底径14.0㎝
1口
千代田区千代田1-8
重文指定年月日:20250926
国宝指定年月日:
登録年月日:
国(文化庁)
国宝・重要文化財(美術品)
明治三十八年(一九〇五)の日本美術協会第三十七回美術展覧会で三等賞銅牌を受賞し、宮内省買い上げとなった。長い年月をかけて清風が追究した白磁、浮文、釉下彩の技術を結集し、その到達点を示す代表作である。また、日本の美意識を反映させた作として、明治時代を代表するものであり、日本近代陶磁史上、重要な作例である。
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