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東京都・千代田区
国指定文化財(国宝・重要文化財(美術品))七宝四季花鳥図花瓶〈並河靖之作/〉千代田区千代田1-8
一九〇〇年パリ万国博覧会出品のため宮内省より製作を依頼された作品で、近代七宝を牽引した並河靖之(一八四五~一九二七)の代表作である。
釉の色調は明るく、彩度が高く、色数は豊富である。また、輪郭線の内側で色彩のグラデーションを多用する事により、モチーフとなる鳥や植物の特徴をより忠実に表現し、立体感や空間の奥行を感じさせることにも成功している。地の黒色釉は、濁りのない真の黒を呈し、色むらや不純物、釉の欠損などは見られず、光沢のある表面となっている。この黒色釉が鮮やかな花鳥の図様を引き立てつつ、空間の広がりを感じさせる効果も持っている。
並河工房の工場長として知られた中原哲泉(一八六四~一九四二)は、優れた下図を多く残したことで知られ、本作品の下図も手がけており、その一部が現存している。花や葉の輪郭は細筆による均一な線で描かれており、肥痩線はそれと明確に区別して描かれている。製作に入る前の綿密な計画と準備を伺い知ることができる。
この花瓶は、有線七宝による細緻な図様表現、器形と調和した構図、明るく豊かな色彩の釉調など、並河七宝の特色が余すところなく発揮されている。並河の作品の中でも最大級の大きさを誇り、代表作と呼ぶにふさわしい堂々たる姿である。明治時代の七宝作品のなかでも際立った作行を示しており、近代工芸史上で欠くことのできない重要な作品である。
国指定文化財(国宝・重要文化財(美術品))旭彩山桜図花瓶〈三代清風與平作/〉千代田区千代田1-8
明治三十八年(一九〇五)の日本美術協会第三十七回美術展覧会で三等賞銅牌を受賞し、宮内省買い上げとなった。長い年月をかけて清風が追究した白磁、浮文、釉下彩の技術を結集し、その到達点を示す代表作である。また、日本の美意識を反映させた作として、明治時代を代表するものであり、日本近代陶磁史上、重要な作例である。
国指定文化財(国宝・重要文化財(美術品))宇治川蛍蒔絵料紙硯箱〈飯塚桃葉作/安永四年〉千代田区千代田1-8
本作は、宇治川に蛍が飛び交う意匠を、高蒔絵を主とする技法で加飾した料紙硯箱である。初代飯塚桃葉(生年不詳〜一七九〇)は、徳島藩主蜂須賀家に抱えられた。お抱え蒔絵師として、注文主の庇護のもと材料など経済的な制約にとらわれず、最高の技術で注文に応えようとする桃葉の姿勢がうかがわれる。桃葉の高蒔絵の代表作であるとともに、江戸中期の蒔絵における装飾性の到達点を示す作品の一つとして重要である。
国指定文化財(国宝・重要文化財(美術品))ベルサリエーレの歩哨(松岡寿筆)東京都千代田区千代田
松岡寿(1862~1944)は岡山の出身で、川上冬崖への入塾、工部美術学校でのフォンタネージへの師事を経て、イタリアに留学し、早期に西洋絵画の技法を習得した日本人画家である。本作はイタリア統一に貢献した部隊の一歩兵を描いた油画で、ローマ滞在中の松岡が明治天皇の命を受けて制作し、帰国後に献上した。松岡のイタリアにおける修学の総決算とされる。早くに西欧への渡航を果たし、帰国後は油画の地位確立と教育に大きな役割を果たした松岡の代表作として重要であり、日本の油画の展開を考えるうえでの学術的価値も高い。