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徳川美術館

徳川美術館は、徳川家康の遺産と尾張徳川家伝来の文化財を保存・公開する美術館である。1935年(昭和10)に尾張徳川家19代当主・徳川義親(1886–1976)によって創立された。義親は、明治維新以降の社会変動のなかで、尾張徳川家に受け継がれてきた文化財が散逸することを危惧し、これらを一括して保存・公開するために財団を設立し、美術館を創設した。近代化の過程で多くの大名家の文化財が失われたなか、徳川美術館の創立は、大名家伝来の文化遺産をまとまった形で後世へ継承する先駆的な取り組みであった。

収蔵品は1万件余りに及ぶ。その中核をなすのは、徳川家康が晩年を過ごした駿府城に残した遺産を、九男で尾張徳川家初代当主となった徳川義直が継承した「駿府御分物(すんぷおわけもの)」である。駿府御分物には、足利将軍家、織田信長、豊臣秀吉ら歴代の為政者に伝来した名物を含む数多くの名品が含まれている。これらは室町時代から戦国時代を経て、最終的に天下統一を成し遂げた徳川家康のもとへ集積され、義直へ継承されたものであり、日本美術史上きわめて重要な作品群を形成している。

これに加え、尾張徳川家には江戸時代260年以上にわたり継承・蓄積した刀剣、甲冑、茶道具、能道具、絵画、書跡、調度類などが体系的に伝来した。尾張徳川家は徳川御三家筆頭として江戸時代を通じて高い家格を有し、将軍家に次ぐ地位にあった。そのため同家には武家文化を基盤として、茶の湯、能楽、和歌、武芸、室礼、婚礼文化など多様な文化が受け継がれた。徳川美術館のコレクションは、一つの大名家の政治、儀礼、教養、信仰、芸能および日常生活を総合的に伝える我が国でも稀有な文化遺産群である。

また、尾張徳川家では初代義直の時代以来、道具や什宝などの管理記録が継続的に作成され、多くの所蔵品について伝来や使用の履歴を文献資料によって確認することができる。文化財は実物のみが残される場合や、記録のみが伝わる場合が少なくないが、徳川美術館のコレクションは実物と記録の双方が一体となって継承されている点に大きな特色がある。このことにより、個々の文化財の由来や歴史的背景を具体的にたどることができ、近世日本の政治・文化・社会を研究するうえで極めて高い学術的価値を有している。

このように、徳川美術館のコレクションは、足利将軍家から戦国大名、天下人徳川家康、そして尾張徳川家へと継承された文化遺産を一体的に伝える点に大きな特色がある。単一の家系によって長期にわたり継承された文化財群と、その伝来を裏付ける豊富な記録がともに残されている例は極めて稀であり、日本文化史研究における重要な基盤資料となっている。

国宝「源氏物語絵巻」は、12世紀に制作された現存最古の源氏物語絵巻であり、日本絵画史および文学史を代表する文化財として世界的に知られている。また、同館は国宝9件を所蔵し、その数は私立美術館として最多級を数える。さらに重要文化財60件をはじめとする多数の指定文化財を所蔵し、日本の武家文化、宮廷文化、文学、美術工芸、芸能の発展を示す貴重な資料群を保存している。

徳川美術館は、天下人・徳川家康の遺産と、尾張徳川家が260年以上にわたり守り伝えた文化遺産を現在に伝え、それらの作品を展示・保存・研究する機関である。そのコレクションは、日本の歴史と文化の実像を実物と記録の両面から総合的に示す比類ない文化遺産群であり、文化財保護と日本文化史研究および美術研究の発展に重要な役割を担っている。

概要

所在地
愛知県名古屋市東区徳川町1017
問い合わせ
052-935-6262
代表電話番号
052-935-6262
ホームページ
https://www.tokugawa-art-museum.jp/
館内案内
10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日
休館日:月曜日(祝日または振替休日の場合は翌平日)、年末年始(例年12月中旬~1月初旬)
交通案内

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