167 有元利夫(1946−1985) 室内楽 1980年
岡山県津山市生まれ、生後まもなく上京。東京藝術大学デザイン科卒業。1975年最初の個展。76年東京藝術大学非常勤講師。78年第21回安井賞特別賞受賞。81年《室内楽》で第24回安井賞受賞。83年第2回美術文化振興協会賞受賞。新しい具象絵画の旗手として期待されるが、85年に急逝した。
有元の作品には、古さと新しさが同居しているようにみえる。初期ルネサンスのフレスコ画や、日本の中世の仏画への関心、そして自ら石を砕いて絵具を制作するほどの素材への好奇心が、擬古的で微妙な画肌をつくりあげている。一方で、画面の構成には現代的な感覚があふれている。この《室内楽》は、バロック音楽を愛し、「絵画で音楽感をつくりたい」と語った有元の代表作。卓上に散らばる果実、青空に浮かぶ雲、テーブルにかかる布の襞が、静かだが心地よいリズムを形づくっている。