工芸品 / 元
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元
- 長方形、印籠蓋造りの箱で、表は総体黒漆地に各面とも線刻して金箔を押した鎗金【そうきん】の技法で文様が表されている。文様はいずれも中央に大きく菱花形を画し、内区には蓋甲・短側面が双鸚鵡文、長側面は双孔雀文とし、間地には雲霞を表している。外区はいずれも唐花文で埋めている。
なお短側面の一方に付く菊座の引手金物は当初の作と考えられるが、長側面の紐金物は舶載後わが国で付けられたものである。
内側は朱漆地。
- 縦37.0 横18.3 高25.2 (㎝)
- 1合
- 重文指定年月日:19930120
国宝指定年月日:
登録年月日:
- 西福寺
- 国宝・重要文化財(美術品)
本鎗金経箱と同様の鎗金経箱中に「延祐二年、棟梁禅正、明慶寺前、宋家造」や「延祐二年、棟梁禅正、杭州油局橋、金家造」の銘が見られることにより、本件を含め一連の経箱が元の延祐二年(1315)頃、杭州の油局橋辺や明慶寺門前に所在した工房金家・宋家で製作されたことが明らかとなり、元代鎗金の実態を示す基準作例となっている。
これらの鎗金作品は中世わが国に多く舶載され、わが国においても鎗金(沈金)が始められる基となった。
繊細・巧緻な鎗金技法を示す中国・元代漆芸品の典型的作例であり、その実態を解明する上での重要な一例として資料的にも価値高い。