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北国
Northern Country
1966年
紙本彩色・額 234.5×138.0cm
1950年ごろから高山辰雄は自然や人間を主題に、画家の心の内奥をにじませたような風景画を描き始める。これらの風景画は具体的に特定された場所の再現描写ではなく、画家の心のうちにある自然や人間に対するさまざまなイメージを定着させようとするものであった。この《北国》を描いた年、彼は家族とともに鶴岡から秋田にかけて日本海の海岸沿いに自動車で旅行した。もうこの地方には早い秋がしのびよっていたが、どこまで行っても人の気配が感じられなかった。そのやるせないほどにさびしい光景が強烈な印象として残った。彼には静止した風景のように思われたのである。《北国》はこの時の印象がもとになっており、荒涼とした風景の中に身を寄せ合う貧しい母と娘を置いて、人間が生きていくことの厳しさや不安を表現しようとした。しかしこれはけっして絶望的な絵ではない。なおたくましく生きてほしいという願いをこめて、画家はこの絵を描いている。第9回新日展に出品された。