熊倉順吉 1920-1985
力つきて(ちからつきて)
陶器
H.53.3, W.46, D.30.5cm 1969年
KUMAKURA Junkichi
Exhausted
stoneware
何か有機体の生物が、文字通り力つきてへたってしまったような形をした作品である。1969年といえば、世界で初めて工芸のフィールドから器物の形をしない、純粋な立体造形作品が登場し、それまでと全く違った造形世界が開かれた頃である。熊倉順吉はその新しい造形の誕生に関わったパイオニア世代の作家である。彼は、土を素材として、器物の形を作るために用いるのと同じロクロや手捻などの土を立ち上げる技法で自分の作りたい形を作ることができるのか否か、そういうことを考えたのである。
そこで出来上がってきたのがこの作品のような形であった。何か不気味だが見方によってはユーモアに満ちている。気味が悪いが疲れてへたってしまったと思うと何かおかしい。そんな形が出来上がった。
それは何はともあれ作者自身の心の形であり、作者自身の気分、感情、生理現象、心理状態、それらすべてが土の形となって出てきたものなのである。つまり土の構築という伝統的な技法を用いて、自分の現在を表現するという新しい方法を見出したのである。
1920年 京都市生まれ
1942年 京都高等工芸学校(現、京都工芸繊維大学)図案科卒業
1955年 第1回日本陶磁協会賞受賞
1956年 走泥社同人となる
1984年 京都市立芸術大学非常勤講師となる