多賀城南方の城外地域に広がる国府域には、奈良時代に集落が、奈良時代末から平安時代にかけて、方格に区画された町並みがつくられた。多賀城関連遺跡群とは、この城外地域の山王遺跡と市川橋遺跡を指す。一般に漆紙文書とは、漆液が乾かないよう漆容器の蓋紙として再利用された古文書に漆が染みこみ、地中で腐らずに残ったものである。肉眼で視認できない場合でも、赤外線撮影等により文字の解読が可能となる場合が多い。
今回の漆紙文書の内容については、籍帳類、帳簿、暦、厩舎修理報告にかかる国司解案や国内でのやり取りに用いられた文書などがある。特に籍帳類のなかには、駅家経営の人員確保に関わるものなど、古代の籍帳制度や交通制度研究においても重要な史料がある。
本漆紙文書は、陸奥の国務に関わる貴重な史料を提供するとともに、多賀城城外の集落や町並みの造営年代を明らかにしており、東北古代史研究のみならず、古代の籍帳制度や交通制度および都市の研究においても、たいへん貴重である。