194 フォンターナ、ルーチョ(1899−1968) 空間概念 期待 1961年
アルゼンチン生まれ。1905年家族とともにミラノへ移住、28−30年ブレラ美術学校に在籍。40−46年ブエノスアイレスで活動、「白の宣言」を発表。47年イタリアに戻り「空間主義宣言」を発表し、49年より〈空間概念〉のシリーズに着手、58年のヴェネツィア・ビエンナーレで特設展示。
「キャンバスに穴を穿つ時、私は絵画を制作しようと思っているのではない。私は、それが絵画の閉鎖された平面をこえて無限に拡がるよう、空間をあけ、芸術に新しい次元を生み出し、宇宙に結びつくことを願っている」。ナイフにより切込みを入れる〈カット〉などの〈空間概念〉シリーズにおける、フォンターナのキャンバスへの働きかけは、平面を三次元へと突き破ることで、絵画でも彫刻でもない新たな芸術を生み出す試みであった。作品タイトルにある「期待」のイタリア語原題は、カットが一条の場合は単数形Attese、数条の場合は複数形Attesaとなっている。画面上のこの裂け目の一つ一つは、新たな次元への彼の希望の現れなのであろう。