月華

絵画 日本画

  • 近藤弘明  (1924-)
  • コンドウ、コウメイ
  • 昭和39年 / 1964
  • 彩色・紙本・額・1面
  • 129.0×180.0
  • 28回新制作展 東京都美術館 1964

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月華
Moon Flowers
1964年
紙本彩色・額 129.0×180.0cm
東京下谷の天台宗正宝院に生まれた近藤弘明の描く絵は、ことごとく仏画、あえていえば現代の仏画である。そこで、この世ならぬ幻想的な華々は特別の意味をもつ。それらは仏であり、人間なのだ。彼はいっている。「仏教には、よく〈彼岸〉の言葉がある。この世より彼の世へ、虹をかけ得るという、その希い、切なる人間の祈念のはかなさ。人といわずとも、あらゆるこの地上の、宇宙の生物、万象のすべては、はたして有って無いという〈空〉のことども。諸物は有るとも云い切れず、ないとも云いきれず、稀有の、それらの上の〈止揚〉された地点にある寂の境。ただ不可解に転生して、輪廻するものらと、空間が交わって流れ去る。人間即花。そのはてしない、自然の生命の実在の遥かなところに、私は、浮かんで、常に黄色な清らかな一灯を内面に持ち、荘重に、力強く、宇宙の一隅を照出したいとおもう…」これは近藤弘明の、華をめぐるすべての作品にあてはまる言葉といえよう。《月華》の赤い花々は、薄明のうちにある人問存在の象徴ともいえ、そのかたちが月とも太陽ともつかぬ天体、作者自身の内面のヴィジョンにほのかに映し出される。それは画面の奥に後退していく無限の距離感とあいまって、この神秘的な風景にいっそうの深まりを与えている。

月華

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