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赤松
Red Pines
1956年
紙本彩色・額 157.5×139.5cm
深い内観によってつかんだイメージを、徳岡神泉は単純な形で象徴的に表現する。大きさも色も不ぞろいの赤松の幹3本を並べただけの構図だが、それぞれの幹の配置と色彩の組み合わせに、神泉は大変苦心している。なかでも地塗りがこの作品の生命で、3本の幹を結びつけて渾然(こんぜん)とした一つの空間を形成するとともに、見た者を、この赤松を通じて神泉のいう絶対的境地の世界へ引きこんでいく。普通の人ならなんでもなく見すごす赤松の幹を対象に選び、凝縮した単純な形の中に独自の心象を定着したこの画家の内観力と集中力に驚くのである。第12回日展に出品されたが、神泉の円熟した画境を示す代表作として、また戦後の日本画を通じて優秀作の一つとして挙げることができる。なお構想のもとになったのは奈良電鉄の平城近くの松林で、どういうわけかここの赤松は他のものより赤く、ことにタ日で鮮やかな色をしていたという。