『ポール・ルヌアール デッサン版画展』カタログ

ぽーるぬるあーる でっさんはんがてん かたろぐ

概要

『ポール・ルヌアール デッサン版画展』カタログ

ぽーるぬるあーる でっさんはんがてん かたろぐ

文書・書籍 / 明治 / 富山県

ポール・ルヌアール、林 忠正(編・序文)、シャルル・ ジロー(発行)  (1845~1924、1853~1906)

ぽーるるぬあーる はやしただまさ

富山県高岡市

1894年5月/1894年

紙本・印刷(カラー)

縦22.3㎝×横14.5㎝

1冊(17頁/白紙頁除く)

富山県高岡市古城1-5

資料番号 1-03-194

高岡市立博物館蔵

本資料は高岡出身で世界的に活躍した美術商・林忠正がパリで開いた画家ポール・ルヌアール(※1)のデッサン版画展のカタログである。原題は『Catalogue d'une Collection de Dessins et Eaux-fortes par Paul Renouard』(ポール・ルヌアールの素描と版画コレクションの目録)』。会期は1894 年5 月17~31 日で、会場はパリのボディニエール劇場。
 忠正は終生親交のあったルヌアールのデッサン力を極めて高く評価し、1881 年以来、数多くの作品を収集した。作品を発注することも多く、この展覧会に先立つ1894 年1 月27 日付忠正宛ルヌアールの書簡には、3,000 フランもの大金で買い取ると忠正から約束され、とまどいをみせるほどであった(※2)。
 本資料の序文で忠正は、ルヌアールのデッサンに魅了され経緯を述べている。1883 年フランス語の初の本格的日本美術論『日本美術』の執筆を手伝った忠正に対し、著者のルイ・ゴンスから贈られたルヌアールのオペラ座の二人の踊り子のデッサンに魅了されたという(※2)。
 忠正は後半生の悲願であった日本に建設するべく西洋美術館に、彼の作品を展示し日本の画家に紹介することを計画していた。本資料の序文で忠正は、これらの作品は東京に開く西洋美術館に展示されるものと予告している。そして実際、1900 年忠正の美術館ができるまで、帝室博物館(現東京国立博物館)の専用の部屋に展示されるべく手続きされて送られ、1905 年(死の前年)帰国後に死を覚悟した忠正は、自分の手で美術館を開設するのは無理と悟り、このコレクションの帝室博物館への貸与を、「私が美術館を作るまで」の「私」を「誰か」と書き換えさせたという。のち忠正長男忠雄は東京国立博物館へ寄贈した(※2)。
 東京国立博物館は2006 年に「没後100 年 林忠正コレクション ポール・ルヌアール展」を開催した。同展HP に「林は日本美術を西洋に紹介する一方、日本の美術界は西洋美術の持つ現実を再現的に描写する力に学ぶべきであるとして、西洋絵画を日本で展示して紹介しようとしました。」(※3)とある。
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【注】
※1.ポール・ルヌアール(1845~1924)
写真普及前のイラスト新聞・雑誌に時事問題を素早く掲載した素描画家。19 世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した。ルヌアールが切り取った一瞬の「動き」や「表情」は、時にユーモラスで時に影のある、人間の諸相を映し出すものであった。『イリュストラシオン』や『パリ・イリュストレ』、『グラフィック』等の絵入り新聞や雑誌に数多くの挿絵を提供し、ルポルタージュの素描家として人気を博した。また、パリの万国博覧会では二度の金賞に輝くなど、その描写力や芸術性についても高い評価を得た。東京国立博物館には忠正旧蔵品コレクション199 点が所蔵され、また大佛次郎記念館には大佛次郎旧蔵資料としてルヌアールの2 種類の版画集『ドレフュス事件』(1899)、『動き、身振り、表情』(1907)所収の作品約300 点が所蔵されている。
(木々康子・髙頭麻子編『美術商・林忠正の軌跡 1853-1906 ―19 世紀末パリと明治日本とに引き裂かれて』(藤原書店,2022)、HP「東京国立博物館/没後100 年 林忠正コレクション ポール・ルヌアール展」(2006 年)、HP「大佛次郎記念館/瞬間を切り取る画家 ポール・ルヌアール」2016 年)

※2.木々康子・髙頭麻子編『美術商・林忠正の軌跡 1853-1906 ―19 世紀末パリと明治日本とに引き裂かれて』(藤原書店,2022)
「その二人の踊り子は決してヴィーナスのような美女ではない。にもかかわらず私は彼女たちになぜか魅了された。私の胸を打ったのは、震えるように活き活きとしていて、鳥のように滑らかな、その表現と動きだった。家に持ち帰ると、彼女たちはさらに私の心を占領し、だんだん美しく思われてきて、客間から寝室にまでやってきて、人生のさまざまな苦難の時に私を慰めてくれたのである。ドガ氏でさえ、ある日、A・ルアール氏とともに彼女たちを見て、とても褒めてくれた。」(林忠正「ポール・ルヌアール展」カタログ序文)
※3.HP「東京国立博物館/没後100 年 林忠正コレクション ポール・ルヌアール展」(2006 年)

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