三岸好太郎と三岸節子展(1992)
1989(平成元)年、20年余りにわたるヨーロッパでの滞在を終えて帰国した作者は、その後、神奈川県大磯で豊かな自然に囲まれて過ごしている。制作意欲は衰えず、1992(平成4)年の「三岸好太郎と三岸節子展」には壺や瓶を描いた大作3点(No.63~65)を新作として出品し、長きにわたる画業を重ねた画家の気概とともに、新鮮な色彩感覚を示した。その3点のうちの1点である本作品は、もやにかすんだ太陽と二つの黒い壺だけで大きな画面を構成しており、どこか哲学的で禅の世界に通じるものさえ感じさせる簡素ながらも堂々とした雰囲気を呈している。