作品

絵画 油彩画

  • 今井俊満  (1928-2002)
  • イマイ、トシミツ
  • 昭和37年 / 1962
  • 油彩・キャンバス・額・1面
  • 130.5×161.5
  • 右下に署名、年記

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作品
Work
1962年
油彩・麻布 130.5×133.0cm
大戦終了後のパリは、長年の抑圧への反動であるかのごとく様々な傾向の表現が一気に噴出した観がある。しかし、キュビスムをはじめ過去に余りにも輝かしい栄光をもってしまったこの都は、完全にラディルになりきることはできなかった。幾何学的抽象が一種のアカデミズムとなろうとしていたとき、マチウをはじめ何人かの画家がそのような退行に危機を感じておこしたのがアール・アンフォルメル(非定型芸術)の運動である。そこでは、一切の美学的権威の破棄、身振り(ジェスト)による自発的行為などが宣言された。この今井俊満の作品も、筆によって““描く””のとは異なった、絵具をカンヴァスに直接叩きつけるかのような方法で制作されている。このような行為の痕跡を絵具によって画布に定着させる方法、つまり素材と身体の直接的関係を回復しようとするような試みは、ちょうど同じ頃、ジャクソン・ポロックのアクション・ペインティングなどアメリカにもみられ、アンフォルメルがアクション・ペインティングと呼応し、1950年代の美術の大きな特徴を体現していることを示している。しかし、この作品は単に同時代の傾向を忠実に反映しているだけではない。フランスで書かれた今井の作品についての評論をみるとそこには、必ずといってよいほどこの作家の日本的な要素が述べられている。赤、黒、オーカーなどの待徴的な色彩による豪華な雰囲気、書を思わせる力強い線、そして東洋のもつ神秘的ともいえる底知れぬ生命のエネルギーなど、フランス人の日本に対するイメージが数多くそこに託されていることが理解される。西欧的な文脈のうえにのりながら、日本的なるもののアイデンティティ一を示すことに成功した貴重な作品ということができよう。

作品

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