60
作品2
Work 2
1963年
油彩・ベニヤ板 181.8×121.0cm
若年期に大正アヴァンギャルド芸術に接し、次いで昭和期前衛美術を青年美術家として体験した斎藤義重は、戦後、1957年に53歳で美術界にカムバックする。ちょうど抽象表現主義が始まる時期で、斎藤もまたこの様式に自己を託することになる。斎藤における抽象表現主義は63年まで続くが、しかし60年からは、抽象表現主義といっても、絵筆だけでなく、ドリルを用いて線を描く(作る)という、ユニークな作品となる。この《作品2》でも、細い線のように見える部分はドリルで削られた線にほかならない。この作品は、大きな色の面と、左上よりの渦巻のような形と、ドリルの細い、ハネルような線とから、成っている。つまり、きわめてシンプルな抽象的な形態(および色彩とテクスチャーの段差)と、それをかきまわし、あるいはそれに動きとリズムを与えるかのような線とから、構成されているのである。おおらかな地と、神経質な線との対比、というようにいってもよいだろう。いずれにしても、地と図のあいだにはひろがりがある。すなわち、ここには空間の奥行きが感じられる。しかし、ここにみられる、地と図のあいだの隔りは、両者がまもなく分離することを予告してもいた。斎藤は64年から、合板による薄いレリーフの作品に変化するのである。この《作品2》は、その直前の作品のひとつであった。