『初代松屋清七曲譜集』(筆写本)
『しょだいまつやせいしちきょくふしゅう』(ひっしゃぼん)
概要
『初代松屋清七曲譜集』(筆写本)
『しょだいまつやせいしちきょくふしゅう』(ひっしゃぼん)
千代田区隼町4-1 国立劇場
登録番号:800
六代目鶴澤友次郎旧蔵資料
解説:田草川みずき(千葉大学准教授)
独立行政法人日本芸術文化振興会
六代目鶴澤友次郎による箱書(蓋裏)に、初代松屋清七(三代目鶴澤友次郎)自筆章本二冊とあり、その上部に「大正元年第拾二月東京鶴澤弥三郎氏より譲受之/朱章元祖松屋清七師秘本謹テ拝スベシ/六代目鶴澤友二郎所蔵」と書かれた紙片が貼付されている。
六代目友次郎が「朱章元祖」とする通り、松屋清七は「朱」と呼ばれる三味線譜を考案、斯界に広めた人物である。「朱」は、三味線の糸を押さえる勘所を、いろは順の平仮名の略字を用いて示したもので、主に朱筆を用いて記すために「朱」と称される。詳細に関しては、井野辺潔「松屋清七の朱章」(『浄瑠璃史考説』1991)を参照されたい。
箱に納められた2冊には、年記・署名ともに無く、成立年や内容に関しては後考の余地がある。1冊は、半丁につき8行の罫紙に「軍法富士見西行 五段目花合戦」、「紅葉狩剣本地 曲水之段」、「由縁十徳 わん久」、「妹背山婦女庭訓 道行」「曽我扇八景 道行」「反魂香 三熊野かけらふ姿」の「朱」を墨で記したもの。これらのうち、「妹背山婦女庭訓」以外の全てが現在の文楽では上演されていない作品や場面であり、個々の伝承を考える上でも貴重な記録といえる。
もう一冊は、薄手の雁皮紙に墨と朱筆で、本文と「朱」を書き込んだもの。本文は筆耕によるものか。一方、本文行の合間のみならず、天地の余白部分にも及んでびっしりと記された「朱」は圧巻である。冒頭の目録に記載された項目数は38。「加賀国篠原合戦」連理のかちぎね、「諸葛孔明鼎軍談」塋陽関の段など、現在の文楽が伝承していない、あるいは上演が稀な作品・場面も多く、参考のため全項目名を以下に記す。
「邯鄲枕」「車返岸の姫かさ」「夢のかよひち」「伊勢平治兵衛佐道行」「対の花かいらき」「思ひの雪吹」「小栗たまの緒つな」「薄雪姫道行」「うち川物語」「初音のたひ」「行平二世の笈つる」「形見忍夫摺」「赤松袂浪路」「酒宴車」「古郷の巡礼歌」「虫うりの段」「花合戦」「小袖物くるひ」「信田二人妻」「木下闇」「ゆかりの十徳」「三荘太夫越路の女浪」「粟のたん」「旅寝の添ち歌」「くまかへ笠」「嫉妬のたん」「かとり姫道行」「あしかり」「住よし物語」「これもち」「丹州爺打栗幾のゝ枝折」「恋の山みち」「比叡山の段」「連理のかち杵」「闇路の白妙」「西口政太夫章ふしおぼへ」「けいやうくわん」「かたみおくり」、以上。
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